コノフィツムさんが楽しげに

コノフィツムさんが楽しげにです。

しんみりと夏

お盆前に掃除も兼ねてお墓参りにいってきました。


母と出かけようとすると、親戚のおばさんもいっしょにお墓まいりすることになりました。これなら、ちょっと離れたお寺同士にある、両方のお墓参りが一度にすむからラクなのです。おばさんはダンナさんを早くに亡くしていました。


さらに、そのおばさんから頼まれておばさんのとなりの家の伊藤さんの奥さんもいっしょに乗せていくことになりました。伊藤さんもおばさんと同じお寺なのだそうです。


おばさんのダンナさん、つまりおじさんは私をかわいがってくれました。


十年ほどまえに肝臓を病み、やせたなあと思ったらあっという間に亡くなってしまったのでびっくりしました。たいぶ悪くなってから見舞いにいった私は、もっと何回もいっておけばよかったと後悔することがあります。


伊藤さんの奥さんは挨拶をしたきり、あまりしゃべりませんでした。私も初対面でしたが、おばさんと母の話に「いいんだよ」「そうだよ」「そうそう、そうだね」などと短く合いの手を入れていました。


それがなんだか飄々とした味わいで、私はこのひとに興味をもちました。おじさんと伊藤さんのダンナさんのお墓はむかいあっていました。母がにこにこして言います。


「ねえ、こうやってなかよしどうし、いつも話ができていいね」


おばさんがほのぼのと笑みをうかべました。


「ほんと。いそがしくてなかなか会えなかったからねえ」
「そうだねえ」


ひとりごとのように伊藤さんの奥さんがつぶやきました。


「おじちゃんのすぐあとだったんだよ、伊藤さんも」


母が私に説明しました。私は声をださずに頷きました。